岡山で公共交通オープンデータ整備・活用に関するフォーラム開催、アイデアソンでユニークな意見も

岡山で公共交通オープンデータ整備・活用に関するフォーラム開催、アイデアソンでユニークな意見も

7月14日(土)、岡山市の岡山県立図書館多目的ホールで「公共交通オープンデータ最先端都市フォーラム in OKAYAMA」が開催されました。主催は一般社団法人データクレイドルや東京大学瀬崎研究室などから構成される「公共交通オープンデータ最先端都市フォーラム in 岡山実行委員会」で、全国からおよそ80名の人が参加し、会場は大いに盛り上がりを見せていました。

フォーラム参加者の集合写真
フォーラム参加者の集合写真

 

前半はオープンデータの事例や課題に関する講演

フォーラムは前半と後半に分かれ、前半では公共交通オープンデータに関する講演、後半は12グループに分かれてのアイデアソンという構成でした。

前半の講演では、まず東京大学の伊藤助教がニューヨークやドイツなど世界でのオープンデータ整備の事例を挙げ、現在岡山の公共交通オープンデータの状況についても説明。岡山でのオープンデータ整備の大きな特徴は民間事業者の協力で整備中であること、そして民間事業者によるデータ整備でデータの正確性や分析の面で様々な可能性があることを示しました。
その中で公共交通分野のオープンデータとして有力な「GTFS」形式に触れ、全国で20カ所以上でオープンデータが整備されていることや、GTFS形式に準拠した国土交通省のバス情報標準フォーマットが整備されていることを挙げました。そしてGTFS形式でのデータ整備により、世界中の企業からデータを利用されるケースがあることにも触れ、岡山から世界に情報発信できる可能性とその必要性を示しました。

続いての岡山県県民生活交通課担当者の発表では岡山県が行うデータ収集の意義とデータの組み合わせやGISデータとして公開されている現状や利用方法について情報提供が行われました。現在まだ利用例は少ないとのことで、今後利用者によるフィードバックを基にデータ更新や操作性の改善を行うそうです。

また、倉敷市を中心にオープンデータ活用推進を担う一般社団法人データクレイドルからはGTFS形式でのデータ整備に関する実体験について発表され、バスの運行形態の複雑さやデータ構造の理解の難解さなど公共交通オープンデータを扱うにあたっての課題が語られました。

熱心に登壇者の話を聞く会場の様子
熱心に登壇者の話を聞く会場の様子

 

オープンデータの活用に関する発表では驚きの声も

そして東京で交通コンサルティングを行う株式会社トラフィックブレインからは公共交通オープンデータでバスの話しか出ない実情とオープンデータ活用の具体例を示し、マイ時刻表のwebアプリ化の事例、遅延改善の事例や地域の公共交通ネットワークについて住民が議論できる土壌づくりなどの可能性を示しました。

特に岡山における黒字路線のみ残したバス路線網のシミュレーションではそのネットワークの変わりように会場から驚きの声が上がっていました。また、今回の「平成30年7月豪雨災害」では岡山県倉敷市真備町で大規模な浸水被害があったことから、会社の垣根を越えたリアルタイムのバス情報を示すwebページ作成についての紹介があり、オープンデータ化の先に災害対応の可能性があることも示しました。

その上でトラフィックブレインの太田社長は「とりあえずデータを出せば気の利いたアプリは誰かが作ってくれる。そのためにも、とりあえずオープンなデータを整備してほしい」と語り、まずはデータ整備をすることの重要性を説きました。

トラフィックブレインの太田社長はオープンデータ活用の成果例について講演した
トラフィックブレインの太田社長はオープンデータ活用の成果例について講演した

 

12のテーマから行われたアイデアソンではユニークな意見も飛び出す

フォーラムは休憩を挟み、後半は会場の人たちでアイディアを出し合う「アイディアソン」が行われました。テーマはデータ整備、アプリ、都市計画、災害・防災、ビジネス、観光など12のグループに分けられ、乗り間違えを防ぐために自分の乗るバスのナンバープレートが見れるといいというアイディアや交通弱者を支えるコミュニティバスや福祉バスのデータがないという課題の指摘、バス事業者にオープンデータ整備を促すため、路線バス許認可の条件にオープンデータ整備や時刻表のweb公開という条件をつけてはどうかという意見などが出ました。その上で岡山大学の橋本准教授は「公共交通に関する自治体の協議会で出てくる議題の多くがオープンデータ化で解消できるのではと強く思った。高齢者もスマホを持つようになってきていて、情報提供も紙ベース+αにしていくべきではとも思った。」と講評で語り、会場ではオープンデータの可能性を強く認識するフォーラムとなったようでした。

トラフィックブレインの太田社長はオープンデータ活用の成果例について講演した
盛り上がるアイデアソンの様子

 

今後県内のオープンデータ整備はさらに進むか

現在、岡山県内で行われている公共交通のオープンデータの公開は宇野バス両備グループ下津井電鉄で行われています。また、弊レポートでも以前紹介した通り、八晃運輸の「めぐりん」に関してもGTFSデータが匿名で制作されています。今後は県内にある他のバス事業者やコミュニティバスでのデータ整備が望まれるだけではなく、岡山市内の路面電車や瀬戸内海の航路にもオープンデータ整備がされることが期待されます。
また、岡山では公共交通オープンデータ化を進めるトップランナーたちが関わっていることもあり、今後の動きにも目が離せなくなりそうです。

(文=鳴海行人・写真=フォーラム関係者提供)

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